吉 富 昭 仁
〜BLUE DROP 誕生秘話〜 その6  (2007.10.24更新)

「BLUE DROP〜壊れた天使〜」には思念凝結兵器なる物が出て来ます。
これは「神子〜KAMINOKO〜」に出て来た物と同じで、その残留物を処理する為に子供を犠牲にするという状況も同じにしました。
思念凝結兵器については、人々が感じる恐怖を具現化して襲い掛かって来るエネルギー体か何か、という事くらいしか決めておらず「宇宙人が考えた物だから地球人の俺が理屈を理解してなくってもいっかー」くらいの軽い気持ちで出していたものでした。

イメージとしては「放っておけば勝手に仕事をしてくれる便利兵器」といったところでしょうか。
「海人」の場合は微生物を使用していますが、基本的にこれと同じ発想です。

話の構造として「YUIが死んだと思わせるフェイクが欲しい」と思ったときに、この思念凝結兵器が使えないものかと考えました。
そこで発展させたのが「元々は異星人が開発したおもちゃだった」という形です。
おもちゃレベルのものでも地球人相手では戦争の兵器として使えてしまう科学力の差、という意味合いも出ればいいかなーと考えた結果でもあります。

それと同時に考えなければならないと思ったのは、その名称です。
恐怖だけを具現化するよう改良された状態が「思念凝結兵器」なので、元となるおもちゃの状態としての名称が必要だと思いました。
それに「シネンギョウケツヘイキ」と呼び続けるのは、どうにも堅苦しい。

この名称をどうするか、しばらく悩みました。
「思念が凝結するおもちゃかあ。考えるだけで勝手に変形する粘土みたいなもんかなあ。超能力か?超能力っぽいのか?」
うーん。
シネンクン。
エスパーシネンクン。
カタマリン。
「ダメだ。異星人が付けた名称だろうから脈絡の無い造語じゃないとダメだ」

そこで「超能力」から連想したのが「スター・ウォーズ」に出てきた「フォース」でした。
「フォースかあ。フォースっぽいなあ。視覚的に具現化って事はフォースが見える感じなのかなあ」

見えるフォース。
ミエルフォース。
・・・・・・。
エミルフォース。

「ミエル」の文字を並び替えて「エミルフォース」としました。
ジョージ・ルーカス氏に怒られそうです。
ゴメンね、ジョージ。
もし会う事があったら焼肉おごるから許して。

こうして生まれたアイテムが「エミルフォース」でした。
この「エミルフォース」は万能性に優れ、あまりにも便利過ぎて「この安易さはいかがなものか」と、後々思うところもありましたが、この「BLUE DROPシリーズ」においてひとつの個性となり、キーアイテムとなって行くのでした。



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